2023年4

書籍紹介:新・社会福祉士シリーズ 12 『社会保障』(弘文堂、2023年3月)

社会福祉士の国家試験にも対応した社会保障の教科書です。2008年に初版を刊行して以来版を重ねてきた本書は、このたび「新シリーズ」として大幅に改訂されました。初版からの息の長さがこの本の評価の高さを示していると言いたいところです。

私の担当章「労働保険の現状と課題」は改訂に伴って第6章から第9章に打順を下げましたが、私がどんな授業でも必ず初めに話す「(アルバイトにも適用されている)労災保険」と、「雇用保険」の話です。とても大切なことです。「制度の沿革」として、これまでの歴史的経緯と背景にも触れて理解が深められるようにしてあります。社会保障制度や社会保険料率は頻繁に改定されます。東日本大震災に対応して作られた制度や特例措置もありますし、近年のコロナ禍によってもいくつかの制度改定が余儀なくされました。あの雇用調整助成金は雇用保険財源を使っています。だからこの本も近い将来書き直すことになるでしょう。

それでも最近過去10年について、社会福祉士国家試験において出題された「労働保険」領域の問題の全てが、私の書いた章を読むことで正解できます(これはほんと)。「〜に関する次の記述のうち」正しいものを5つの中から1つ選ぶ出題形式ですが、「誤った記述」のほとんどが「誤り」であることもきちんと書いてある自信もあります。社会保障は資格試験や公務員試験の対策のためだけでなく、暮らし働いていくうえで必須の知識です。図書館にもありますから読んで頂ければ嬉しいですし、買って読んで頂ければなお嬉しいです。この本がみなさんの身を守る助けになりますように。

熊沢透 経済経営学類教授