2022年2月

根建晶寛ゼミの学生2チームがブロック優勝,審査員特別賞を受賞しました


令和3年度「アカウンティングコンペティション」において、経済経営学類の根建晶寛ゼミの学生2チーム(1チームずつ)が実践的研究分野のブロック優勝、審査員特別賞をそれぞれ受賞しました。アカウンティングコンペティションは、独自性、先行研究や雑誌記事等の丁寧な整理を行う論理性など社会人になってから必要な能力を養うことを目的とした会計学の全国的なプレゼンテーション大会です。全国から25大学、31ゼミナール、68チーム(ただし、ゼミ数には、学術的研究分野への応募ゼミも含まれる)の応募があった中で、ゼミ生2チームが受賞しました。


【ブロック優勝】

●受賞報告名:業界比較による女性活躍推進と企業内部の体制の在り方      

 受賞チーム名(メンバー)

根建ゼミナールチームC(阿邉 蓮・荻須 妃彩・河野 隼大・紺野 理史・杉本 遥・

            杉山 紀々香・細川 翼) 


【審査員特別賞】

●受賞報告名:新型コロナウィルスによる株主還元への影響について

 受賞チーム名(メンバー)

根建ゼミナールチームB (菅ノ澤 愛梨・遠藤 快海・瓜生 将大・一条 瞳)


●関連サイト: 第6回(2021)受賞チーム一覧 | Accounting Competition in 2021 (accocom.com)


                               根建ゼミの学生のみなさんと学類長、根建准教授 

今回、受賞した発表概要は以下のとおり。

 ブロック優勝を受賞したチームCのメンバーは、女性管理職比率が日本企業に与える影響について、財務面及び非財務面の双方に注目した研究を報告した。昨今、少子高齢化がすすみ、各企業には旧態依然の体制を変革していくことが強く望まれている。女性雇用の推進は、日本企業の古い慣習を根本的に変え、日本経済全体の成長に寄与するであろう。しかし、研究テーマとしてはいまだ発展途上であり、どのような施策が企業業績に影響を与えるか明らかにしていくことは、実務的・学術的にも大きな貢献を与えるだろう。

当該チームは、先行研究を丁寧に整理し、複数業界48社の女性社員比率と財務業績(売上高成長率、当期純利益成長率、ROEの3分解)との関係性を探っている。また、単に財務面に注目した分析にとどまらず、非財務面(女性及び男性側の平均勤続年数、育児取得率など)を丁寧に調査している。チームメンバーで協力し、手作業で研究対象企業を増やし、学生たちの柔らかい発想を通して、女性雇用と各指標との関係性を説明している。相当程度の努力を行ったことが、全国的にトップレベルの大学が集う厳しい予選を通過し、大会側から高い評価を受けた要因と予想される。

ただし、どのような研究にも課題は必ず存在する。今後の課題として、非常に難解ではあるが、女性雇用に関する変数と財務及び非財務情報への因果関係(経路)を論理・実証的に明らかにすることが望まれる。この点は、変数間の関係性をとらえる際、先行研究上の研究者らが述べている変数設定に関する論理的な記述を丁寧に追い、自分たちの研究に採用することがオーソドックスな対応である。しかし、プロの研究者らの論文といえども、2変数間の時間軸(どちらが先でどちらが後か)や理論的にどちらが原因で結果かを判断するのは容易ではない。

計量経済学的には、逆推定(逆回帰)という手法が存在し、原因と結果を入れ替えた双方の推定結果を確認する方法がある。今回のアカウンティングコンペティションでは、おそらくどの大学もここまでの推定を試みていないが、因果を入れ替えた推定を行い、どちらの変数が内生・外生変数なのかを確認することで、誤差項の従属変数側への影響の違いをとらえることができうる。この水準まで到達する報告は、非常に稀であり、学生たちのさらなる関心がある場合には、事例をメインとしつつも、部分的には応用計量経済学の手法を駆使した財務会計の実証研究を行い、次年度以降の主な課題として、鋭意作業に取り組むことも可能であろう。

 他方、審査員特別賞を受賞したチームBのメンバーは、日々各種テレビや新聞報道でも話題となっているコロナ禍に対する企業の株主還元行動に注目した報告を行った。景気敏感銘柄とされるIT業界に属しているわが国企業を取り上げ、株主還元(配当と自社株買い)の動きを調査している。国内の主要研究だけでなく、学部生には難解な英語論文の引用も試みている。先行研究から海外における株主還元の大きなトレンドに注目し、代表的な仮説を整理した上で、わが国を代表するIT企業8社の分析を行っている。

 発見事項は、コロナ禍において8社の「会計利益と総還元は相関関係にあること」、「配当総額は、さほど変化していないものの、自社株買いの総額は大きく減少していること」であった。結果を推察するに、コロナ禍で先行きが不透明で、利益額(水準)の減少がある場合、企業経営者は配当よりも、より操作しやすい自社株買いの金額を変化させる傾向がある。 

「自己資本は優良企業だけでなく、長期的なトレンドで見た場合、上場企業全体で積みあがっている」と予想され、貸借対照表の右下項目の分析ないしROEに着目した検証がなかったことに少なからず課題がある。しかし、代表的な上場企業の株主還元の動きを観察したことは、非常に挑戦的であり、代表的企業をフォローする企業群の資本市場における将来的な動向(経済的帰結)を予想する重要な証拠でもある。テーマ選定も時代を捉えたセンスの良いものであり、その意味において大会側から一定の評価を受けたと予想される。

今回は受賞できなかったチームメンバーやサポートメンバーも含め、所属ゼミ生の長きにわたる努力に、この場をお借りして深く感謝したい。また、いつも後輩たちを温かく支援してくれる最上級生である4年生の各メンバーにもあわせて深く感謝申し上げたい。

研究活動を通してお世話になっている地域の皆さまを前に卒業論文の発表会を開催しました

「村上ゼミ」は、フィールドを通じた研究活動を行っております。これまでの研究活動を通じてお世話になってきた地域の皆さまを前に、卒業論文の発表を行いました。

日頃、フィールド活動を行っていることから、大学に来ていただくのではなく、自分達が地域に出向き発表しようということで、大学の「内」ではなく「外」を会場とさせていただきました。

 

須賀川市は、村上ゼミの研究フィールドとして継続して訪れてきた経緯があり、ゼミ生は日頃の研究活動を通じて、行政職員や企業経営者をはじめ須賀川市の皆さまにお世話になってきました。

本年に卒業予定の4年生10名は、一連の研究活動の集大成として、卒業論文の執筆を進めてきました。

各テーマは多岐にわたりますが、いずれも須賀川市をはじめ地域の皆さまにお世話になってきたからこそ進めてこられた研究であるため、今回の卒論発表会が研究の「御礼」になれば幸いです。

 

日 時 令和4年2月23日(水・祝)13:30~

会 場 須賀川市市民交流センターtette たいまつホール

発表テーマ

・リノベーションによる空き店舗の利活用が地域にもたらす効果と可能性

・地方都市のマーケットの運営実態および展望

・農村地域における地域内交通に関する研究

・シティプロモーション戦略における今後の課題と可能性

・映画祭とコミュニティシネマによる地域活性化に関する研究

・地方都市における公共空間活用の課題と可能性に関する研究

・商店街の空き店舗活用事業における組織運営の実態

・地方都市における若者のサードプレイスのありか

・祭りと地域コミュニティ

・空き家を活かしたまちづくり