2024年2

行動経済学会「ポスター報告奨励賞」を受賞


行動経済学会 第17回大会(2023年12月9日~10日)において、本学類4年の牧田春花さんが「ポスター報告奨励賞(学部生部門)」を受賞しました。


【研究題目】WTPとWTAによる曖昧さの分析(ポスター資料はこちら


【研究概要】

「人間は必ずしも合理的ではない」と考える行動経済学においてよく知られている理論の一つとして、「曖昧さ回避」というものがある。これは、確率がわかっている不確実性に対して、確率がわかっていない不確実性は避けられる傾向があるというもので、後者の程度は「曖昧さ」と呼ばれている。しかし、この現象が他の要因によってどのように変化するかはまだ明らかにされていない。


本研究ではその一例として、当選確率や賞金額がわかっていない(曖昧さがある)くじについて、WTP(willingness to pay、買う場合にいくら支払うか)とWTA(willingness to accept、いくら受け取ったら売るか)で評価させることを考える。曖昧さがあるくじを買う場合は、「曖昧さ回避」が成り立つのであれば、曖昧さがないくじに比べて低く評価されるはずである。しかし、曖昧さがあるくじを売る場合、曖昧さがないくじに比べて当選確率や賞金額が高いことが考えられるため、高く評価される可能性がある。このことを検証するためにインターネット調査による実験を実施した結果、予想に反してWTPもWTAも曖昧さがあるくじのほうが低く評価された。しかし、曖昧さがないくじではWTPとWTAに有意な差が見られなかったのに対し、曖昧さがあるくじではWTPよりWTAのほうが高くなったことから、曖昧さ回避の程度については状況によってばらつきがあることが確認された。

書籍紹介 『パブリックスペース活用辞典』(学芸出版社、2023年12月)


皆さんは「パブリックスペース」と聞くと、どのような空間を思い浮かべるでしょうか。公共施設、公園、広場もあれば、街のちょっとした空き地、ビルとビルの間の空間などを連想されるかもしれません。他にも、道路や河川もパブリックスペースの一つです。こうしたパブリックスペースの活用を通して、都市における賑わいや居心地の創出や、人々のQOL向上、経済的波及効果の創出などが期待されています。


本書は、パブリックスペース活用の歴史や制度を初めて体系化したものです。歴史的変遷を見やすい年表形式で辿るとともに、おさえておきたい政策や法令、条例等、都市に賑わいや居心地を創出するテクニカルなアプローチが国内外の60の制度・プログラムで網羅されています。


ぜひ手にとっていただき、パブリックスペースの世界に触れながら、福島はもちろん、街の様々なパブリックスペースに目を向け、ご自分も活用し実践していただく一助になれば幸いです。


村上早紀子 経済経営学類准教授