2017年2月10日金曜日

2017年の1月のマクロ的な経済問題(中村勝克ゼミによるレポート)

数年前より続けてきたこのブログ企画も、担当教員の都合により今回が最後となります。この間、世界経済では想定外のことが立て続けに生じており、まさに、この企画の意義を強く感じる数年間でした。現実の経済が、これまでのマクロ経済理論を容易に飛び越えていく。そんな時だからこそ、1つの理論に固着して、その理論を現実に“こじつける”という訓練は敢えてしない。その代り、複数の経済理論を臨機応変に援用しつつ、あくまでも“常識”を紡いでゆく。そのような姿勢が、経済学を学ぶ学生には肝腎だと考えています。また、その“常識”を身に付けるのに、この企画は十分に役立ってきたと信じている次第です。

言ってしまえば新聞記事をまとめているだけ。確かに、その側面が強いことは否めません。ただ、それぞれのまとめを書くにあたって、学生たちは各々深く考え、多くのことを理解し、時には一般社会人が聞いたら驚くような高水準の議論を交わしています。そして、その光景を見るたびに、福島大学経済経営学類の学生も捨てたものではない。伝統に全く恥じることなく、ちゃんと“大学生”をやっているじゃないかと感じるほどでした。このブログ企画はこれで終了しますが、福島大学経済経営学類は今後も伝統の灯を消すことなく、このような“大学生”を多く生み出していくでしょう。

最後になりましたが、ゼミ・レポートの発表の場としてこの学類ブログを使用するアイデアを、これまで気持ちよく受け入れ続けてくれた経済経営学類の歴代の広報委員各位には、読者の方々と共に、心より感謝申し上げます。

経済経営学類教授 中村勝




さて以下の3つの記事ですが、今回は110日から131日の3週間からピックアップされたものです。まず日本経済に関連したものとしては、今年度の中村勝克ゼミのホットイシューであったビットコインの話が選ばれました、先進国の話は、これも現在大きく問題になっている自国第1主義に関する記事。最後の途上国の話題としては、ベトナムのカジノ法案に関する記事となります。これは日本でのカジノ法案との関係で選ばれています。

ゼミにおける議論をベースにしているため、ピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。
内容については、基本的に学生の意見となります。大きな誤り等がある場合はお知らせください。


【日本経済】

ビットコイン対応店急増(日経新聞・124日の記事参照)

国内仮想通貨取引所で店舗などの決済業務にも力を入れる「コインチェック」。この「コインチェック」を運営するジュプレス(東京・渋谷)は、ビットコイン対応店が年内にも2 万カ所まで拡大するという見通しを立てている。ビットコインが支払いに使える店舗は昨年末時点で約4200カ所であり、約5倍もの拡大となる。

海外では対応店が10万カ所以上と急拡大している。そのため、20年の東京五輪の開催も見据えて、増加する訪日外国人への対応を目的に、小売店の導入するケースが多くなると予測する。また、レストランやバーといった飲食店他、ネットショッピングでの利用も進められている。また、同社では昨秋に電気代の支払いにビットコインの適応を始め、ガスや水道代への拡大も検討しているようだ。

スマートフォンを利用し簡単に決済を行えるという点や、利用者が負担する手数料が数円程度であること、法定通貨と異なり国ごとの通貨に変える必要がなく国境を越えて使えるといった利点もあり、日本での利用者も増加傾向にあると言われている。加えて、国内でも7月から仮想通貨の購入時にかかる消費税の廃止や、今春めどで施行される改正資金決済法により、仮想通貨を扱う取引所を登録制にして安全面を強化する。

このように、ビットコイン利用者の増加に対応していく方針が国としてもなされているものの、ビットコイン利用者が国内においてどれほど増加するのかという点については懸念材料も多い。消費者の視点から考えた場合、現在すでに便利な決済方法が数多く存在しているため、新たにビットコインという決済方法が提供されたとしてもそれほど重要視されない可能性が考えられる。円との交換に消費税がかからず広い店舗で使うことができる電子通貨は、すでに数多く存在しており、海外での決済についてもクレジットカードで済ませられる場合も多い。ゆえに、利用カ所の増加に伴いビットコイン利用者が一定数増加することは予想されるものの、その増加は決して激しいものではなく、むしろ緩やかなものになるのではないかと思われる。

店側の視点からは、導入に伴うコストも小さくはないと予想される。確かに、訪日外国人を取り込むことができれば、売り上げの増加につながるという可能性もある。しかし、店舗に導入するにあたって整備等々から新たなコストが多く発生することも想像に難くない。このメリット、デメリットを見比べた際、導入を希望する店舗がどれほど存在するのかという点については吟味する必要があるのではないかと考える。

また、ビットコインを利用する以上、価格変動のリスクを常に抱えることになるため、既存の通貨のように使うにしてもとてもリスクが高い。加えて、今回取り上げた記事では対応店の分布について明言されていない点についても留意するべきであろう。東京五輪を見据えていることや訪日外国人への対応という点から、対応店は都市部に集中するものと考えられる。そうなれば地方での利用者の増加という点では期待することはできないと考えられる。そのため広い範囲での効果には期待できない。以上の利用から、対応店を増やし、利用者にかかる負担や不安の軽減に努めることはビットコイン利用者の増加に一定程度の効果はあると思われる。しかしながら、それでもビッ トコインに対する利用者の需要拡大と経済的な効果は緩やかなものになるのではないか。
(魚の神様)



【先進国経済(北米、欧州等)】

米英、強まる「自国第一」(日経新聞・129日付の記事参照)

 トランプ米大統領は、27日の会談でメイ英首相と「特別な関係」を強化するという意見で一致した。両国の首脳は共に「自国第一」を宣言しており、戦後以降の共通理念から実利を重視するという姿勢に転換するとみられる。この両国の関係の変化は、今後の世界秩序の安定に影響をもたらす可能性がある。

 今回の会談では、米英の2国間貿易協定を推進することで合意した。今後は英国の2019年のEU正式離脱後に交渉の準備を開始する予定である。今回言及された「特別な関係」は、戦後から現在に至る自由貿易や国際協調等の理念の共有を促すことで、このことは世界秩
序の安定をけん引してきた。しかし両国新首脳陣の指導の下でその理念は揺らいでいる。

米国は「米国第一」を宣言すると共に、反移民を主張している。その一方でEUからの正式離脱を宣言している英国も移民制限を主張している。英国にとっては、EU離脱による経済的損失を補填するためにも米国との貿易協定の締結は望ましいと考えられるが、米露の親密化等の不安定要因によって、実利の基準が変化する可能性があるため、今後の国際社会においてどのような方針をとるかの難しい判断が迫られる。
あああああ)


【新興国経済(BRICS、アジア等)】

ベトナム、国民の賭博合法化(日経新聞・2017130日の記事参照)

ベトナム政府がカジノなどでの自国民の賭博行為を条件付きで合法化する法令を3月に施行する。この法令により月収が1000万ドン(約5万円)を超える21歳以上の国民は認可されたカジノへの入場チケットを100万ドンで購入可能になる。この法令は123日に公表され、3年間の試験的取り組みとなる。

この法令の背景には、賭博収入の国外流出がある。これまでベトナム人は国外、特にカンボジアや香港、マカオ、シンガポールのカジノに足を運んでいた。ベトナム財務省は国外に流出する賭博による収入は、少なくとも年10億ドル(約1130億円)はあるとし、国内に食い止めようと躍起になっている。

ベトナムでは毎日200人あまりが国境を越え、カンボジア東部バベットという町のカジノを訪れている。ベトナムの持続的地域発展研究所が公表した2015年の調査によると、その人数は週末には3倍以上になるという。同研究所は、この国境地域でカンボジアが得るカジノからの収益は、毎年25000万ドルあまりにのぼるとみている。

ベトナム政府は95年に初めてカジノに免許を交付して以来10のカジノに免許を交付、すでに8つが営業を始めている。さらに今後も、ベトナムで最大規模のカジノ建設プロジェクトに約40億ドルの投資を計画するなど、カジノ事業に力を入れていくようだ。
                             (ヤマガタ・ケン)



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