2016年11月14日月曜日

2016年10月のマクロ的な経済問題(中村勝克ゼミによるレポート)

201610月のマクロ的な経済問題(中村勝克ゼミによるレポート)

2016年も終盤に差し掛かってきました。1年を振り返るのには、まだ早いのですが、それにしても議論の尽きない事件の多い年だと感じています。日本におけるマイナス金利政策の導入から始まり、それに続くヘリマネの議論。Brexitや中国経済の問題に加えて、極めつけが日本時間の119日に決まったDonald Trumpの米大統領選の勝利。世界経済は、既存の(マクロ)経済理論では太刀打ちできない混迷を迎えているようです。得体の知れない不確実性を正面から扱うマクロ経済理論は、現在、十分にそろっているわけではなく、こういう状況だからこそ、謙虚に現実を受け入れて素直に分析していく姿勢が一層求められるのかも知れません。

さて、今回は927日(火)から111日(火)までの新聞記事を中心にピックアップしています。日本経済からは、最近本ゼミで注目している暗号通貨に関する記事で、「ビットコイン、取得時に消費税課さず 17年春にも 通貨の位置づけ明確に」というもの。また、アメリカ関係としては「米GDP 2.9%増 2年ぶり高水準 輸出好調」という先月の米GDP統計に関する記事。最後の3つめはBrexit絡みで「英離脱、定まらぬ戦略」という記事です。ただ最後の記事は、英国の高等法院がくだした「EUへの離脱通知については議会承認を必要とする」という判決の出る前の記事であり、現状はさらに複雑化している点に留意してください。

ゼミにおける議論をベースにしているため、ピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。
内容については、基本的に学生の意見となります。大きな誤り等がある場合はお知らせください。
次回のアップは、12月の半ば(201611月分のレポートのアップ)を予定しています。

【日本経済】

ビットコイン、取得時に消費税課さず 17年春にも 通貨の位置づけ明確に
(日経新聞・1012日の記事参照)

財務省と金融庁は、ビットコインなどの仮想通貨にかかる消費税を、2017年春を目途になくす調整に入った。仮想通貨をモノやサービスでなく「支払い手段」と明確に位置づける。このことによって事業者の納税事務がなくなるほか、利用者は消費税分の価格が下がって買いやすくなる。主要7カ国(G7)でビットコインに消費税を課しているのは日本だけで、金融庁は今夏の税制改正要望で、仮想通貨が消費税の対象かどうかをはっきりさせるよう要求していた。

今年成立した改正資金決済法では、これまで法的な規定がなかった仮想通貨をプリペイドカードなどと同じ「支払い手段」と定義づけた。仮想通貨は送金手数料がほぼゼロだったり、海外でも法定通貨を両替せずに使えたりするなど利点も多い。今回の消費税の非課税化を機に、決済手段の「通貨」としての利用者の増加に弾みがつきそうだ。

そもそも、現在、支払い手段であるプリペイドカードを入手する際には消費税はかからない。他方、仮想通貨を購入すると8%の消費税がかかる。同じ「支払い手段」であるはずなのに仮想通貨を購入する時だけ消費税がかかるのは矛盾しているとの指摘が、831日の税制改正要望で金融庁からなされていた。ただ、金融庁幹部は「仮想通貨を積極的に促進する政策的な意図はない」とコメントしている。

政策的な意図は無いにせよ、消費税が課されなくなることにより、仮想通貨が使いやすくなるというのは間違いない。11月初旬現在、1ビットコイン=約7万円となっており、投資目的に利用している人も多い。まだ、支払い手段としては使いやすいとは言えないが、仮想通貨を購入する際に消費税がかからなくなり流通量も増えると、支払い手段としても使いやすくなるであろう。
(アキタ・ケン)

【先進国経済(北米、欧州等)(その1)】

GDP 2.9%  2年ぶり高水準  輸出好調(ロイター・1029日の記事参照)

米商務省が28日発表した7月~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は年率換算で前期比2.9%増と、20147月~9月期(5%増)以来2年ぶりの高水準だった。伸びは前期の1.4%から加速し、市場予想の2.5%も上回った。

 輸出が大きく増えたほか、在庫投資も持ち直し個人消費の減速を補った。輸出は10%増と、201310月~12月期以来の大幅な伸びとなった。大豆の輸出が大きく伸びたことが押し上げ要因で、背景にはアルゼンチンとブラジルにおける大豆の不作がある。

 なお連邦準備制度理事会(FRB)は、大統領選直前の1112日に開かれる次回の連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利上げを見送った。何故なら、米の実質経済成長率は201510月~12月期から3四半期連続で2%を下回り、息切れ懸念があったからだ。しかし、今回のGDPデータは、米経済が平均1.1%の成長にとどまった上期から失速するとの懸念を和らげており、12月のFOMCでの利上げを後押ししそうだ。
(玉の汗 小林)

【先進国経済(北米、欧州等)(その2)】

英離脱、定まらぬ戦略(日経新聞・1022日の記事参照)

 イギリスのメイ首相は2021日に開かれたEU首脳会議で20173月末までにEU離脱を通知する方針を説明した。しかし通知前に行われる事前交渉を巡ってEUとの意見が合わず、「移民制限」と「自由貿易」のどちらを軸とするかが依然として定まっていないという前途多難の状況が続いている。

 今回首脳会議に初参加であるメイ首相はEU単一市場への参加よりも「移民制限」を重視するハード・ブレグジット(強硬離脱)の立場にある。他方で「自由貿易」による英国とEUとの協調も重要であると説明している。そもそも英国は今回の事前交渉から来年の離脱通知、そして通知後の離脱交渉までの中長期的な期間のなかで最適な条件を得るというプランをもっており、今回は各国首相の離脱に対する感触を確認する意図があった。

しかしその狙いは外れ、各国首脳の態度の硬化を招いている。また交渉における具体的な内容についても隔たりがある。英国は移民制限を行いながら経済的に重要度の高い業種を中心に単一市場への参加を望んでいるが、EU側はあくまで人の移動の自由を保証する自由貿易の理念を重視している。そのため交渉妥結には未だに時間を要すとされている。

 今後メイ首相は年内に加盟国首相を個別に訪問するが、国内における離脱方針の相違も相まって妥結には困難な状況が続くとされる。
(あああああ)


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