2016年9月12日月曜日

変化に対しての柔軟な対応力を-真の安定志向のために(経済経営学類長 阿部 高樹)

変化に対しての柔軟な対応力を:真の安定志向のために


※福島大学経済経営学類後援会会報  52号(2016.8/1発行) 転載記事

経済経営学類長 阿部 高樹

 今年度、経済経営学類では、被災地を実際に訪問し復興について学ぶという新入生対象の新事業を行っています。課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(アクティブラーニング)に対する社会的要請への対応でもあります。「教養演習」のクラスを基本とした班に分かれ、復興に取り組むリーダーや住民の方々と直接交流するプログラムです。
まず、学生は事前学習によって、現地で確かめたいこと、住民の方との交流で期待することなど、各自の問題意識に基づいた訪問目標を設定します。研修終了後には、訪問の成果を「振り返りシート」にまとめていきます。想定外の大災害や過疎化・高齢化に対して奮闘する方々との交流は、学生たちに大きな刺激を与えており、「現実社会への問題意識を持つことや大学で学ぶことの意義を感じてほしい」、という我々の意図どおりの効果が得られていると評価しています。

 近年、学校教育の目標に関する再検討が進み、学術的知識や技術だけではなく、「社会人基礎力」あるいは「ジェネリック・スキル」が身につくような教育改革が進んでいます。例えば、この3月に公表された『高大接続システム改革会議最終報告』(文部科学省)では、今後の社会で求められる「学力の3要素」として、①十分な知識・技能;②それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見出していく思考力・判断力・表現力;③これらの基になる主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度、を掲げています。そして、②や③の力を高めるものとして、アクティブラーニングが注目されているのです。一方で、①の知識や技能(=基礎的素養)といった面も、学生たちが自分自身に自信を持ち、しっかりと地に足を着いて生きていくために必要不可欠なものであります。

 ところで、昔に比べて「安定志向」の学生が多くなっているという声を聞きます。私は危険を回避し安定を求めたいと考えること自体に問題があるとは思いません。しかし、「今のままでよい」「~さえすればあとは安泰だ」という意味の硬直的な姿勢だけでは、安定どころか非常にリスクの高い生き方となってしまいます。各自の利益・不利益は、変動する社会状況に左右され、また、完全には予測できない他の人々の行動と相互依存しています。実際に体験したことやいろいろな人々との交流から学んだことを生かし、答えを模索しながら生きていくことになります。したがって、変化に対して、適切に対応できる柔軟性が求められます。生物学的な要素を取り込んだ経済学においても、多様性のある柔軟な組織の有利性が主張されています。


 以上のような、真の生きる力を高める教育という視点から、本学類ではカリキュラム改革や諸事業の展開を図ってきました。後援会の皆様のご意見も参考にしながら、今後も、絶えざる改革に努めて参ります。

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