2015年8月11日火曜日

ゼミ活動報告:2015年7月のマクロ的な経済問題(中村勝克ゼミ)

現在どのような経済問題が注目されているのか。中村勝克ゼミでは毎週、「日本経済」、「先進国経済」、「新興国経済」に関する各紙の新聞記事を持ち寄ってディスカッションをしています。その中でも特に重要と考えた話題をピックアップし、このブログで月ごとに報告していきます。今回は試験期間の関係から、77日~728日の3週間からの選択になります。
まず日本経済ですが、7月後半に景気の足取りを報告した記事を取り上げています。そこでは、輸出、個人消費、設備投資ともに見通しが不透明な点を強調しています。なお、8月に入ってから日本政策投資銀行が「成長につながる設備投資」の増加を報告しており、状況は微妙に変化しています。予めご注意ください。
先進国経済に関しては米国6月の景気先行指数の話題で、FRBの利上げ問題と絡めてレポートしています。FRBの利上げに関する話題も、8月になって新しい雇用統計等が発表され、現状はまだまだ流動的と言えます。
最後の新興国経済は、新興国側から見たTPPの問題点について考察した内容になっています。TPPに関しては7月末での合意が見送られ、やはり予断を許さない状況です。また、TPPの影響および評価については、本ゼミの中でさえ十分にコンセンサスが得られている訳ではなく、今回の内容についても幾つかの反論が予想されます。ただその上で、1人の学生の意見として敢えてレポートを掲載する次第です。
稚拙な部分は大目に見てもらい、以下、参考にしてもらえれば幸いです。

※ ゼミにおける議論をベースにしているため、ピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。

※ 内容について大きな誤り等がある場合はお知らせください。


【日本経済】

景気回復 足取り鈍く

(日経新聞・719日の記事を参照)

 景気回復の足取りがなかなか勢いづかない。中国経済の減速や市場の動揺で輸出に不透明感が強まっているのが主因だと考えられている。一方で企業収益や所得の改善に支えられ、国内の設備投資と個人消費には前向きな動きが表れ始めている。外需の下押し圧力と内需の上向きの働きがせめぎあい、好循環の歯車が本格的にまわりだすかどうか見極めにくい状況が当面続きそうだ。

外需に関してだが、最近になって、中国経済の減速感が非常に強まっている中、中国の株式市場も大幅に下落している。家計や企業が保有する金融資産価値が大幅に下落すると、家計の消費行動や企業の投資行動にマイナスの影響を及ぼす恐れがもある。つまり、中国経済の内需はさらに縮小する可能性があるとみられている。

今、中国経済は投資主導モデルから脱却を目指す構造調整期に入り、経済下振れの圧力が非常に大きい。たくさんの困難と問題を抱える中国経済の減速感が当分続くだろう。その影響で日本経済の下振れリスクも高まるのではないだろうか。

以上のような外需減速に対して、上述の通り、内需を支える設備投資や個人消費が好調だと思われている。1月~3月の設備投資が前年より7.3%増加した。さらに5月の家計支出が前年より4.8%増加した。しかし、今回の設備投資の増加は、日本経済の将来性を見込み、新しい技術を導入し、生産能力を向上するための設備投資ではなく、単純な設備の老朽化による設備更新ではないかという意見もある。加えて来年消費税増税の動きもあり、個人消費の好調が続くかどうかも非常に判断しにくい。

日本経済の行方はまだまだ見極めにくいと思う。輸出や個人消費、設備投資などには様々な不透明の部分があり、注目していく必要があるのではないだろうか。 (タツ)


【新興国経済(BRICS、アジア等)】

新興国インフラを市場開放  国際入札義務化へ

YOMIURI ONLINE726日の記事・参照)

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する新興国の政府が発注するインフラ整備事業について、日本企業の受注拡大につながる共通ルールがまとまる見通しとなった。交渉参加国12カ国のうち、政府調達協定(WTOが定める、その国の政府による公共事業の発注を他国に対しても行うこと)に加盟しているのは日本、米国、カナダ、シンガポールの4か国のみだが、国際入札の義務化の見方が強い。

 しかし、気になる点が2つある。1つ目はTPPの前身となったP4協定参加国(シンガポール、チリ、ブルネイ、ニュージーランド)に後から交渉に関わった先進国がインフラ市場で優位性を得るために開放を求めていることである。さらに、日米の交渉の停滞は全体の遅れを招いている。このように本来参加していなかった先進国が、自分に有利なようにしようと交渉全体の進退に影響を与えているのだ。

 2点目は、貿易自由化やインフラ市場の開放が果たして経済の効率性を達成させるかということである。貿易の規制の撤廃が進めば、新興国は現段階の産業のレベルで勝負しなければならなくなる。またインフラ市場の開放によって、技術の進んだ日本などと対等な位置に立って勝負することになるのだが、日本が大きな期待をするのと反対に、新興国にとっては不安が大きいはずである。貿易の自由化やインフラ市場の開放は、新興国の開発に必要な“ゆとり”期間を奪う可能性がある。優位な先進国が市場を独占的に支配すれば、国際的な競争が阻害され、経済の長期的な効率性を達成できなくなるのではないだろうか。(おいとま)

【先進国経済(北米、欧州等)】

6月米景気先行指数0.6%上昇、住宅市場の回復に伴う成長加速の可能性

(ロイター・723日の記事、ウォール・ストリート・ジャーナル、FISCOを参照)

米大手民間調査機関、コンファレンス・ボードが発表したアメリカの6月の景気先行指数は、前月比で0.6%上昇し、市場予想の0.2%を上回る伸びとなった。同指数は景気の方向性や転換点を判断する上で重要視されており、6月の大幅な上昇は年内の経済成長の勢いが増し続ける可能性を示しているといえる。今回の指数の上昇については、住宅市場が堅調さを増したことが主な要因と見られている。

住宅市場が回復した背景について考えたい。リーマン・ショックに端を発する世界的な金融危機が始まった2007年から昨年末までの間に、米国では500万世帯以上が差し押さえを受けて自宅を失っている。差し押さえや債務不履行など、最も重大な信用記録の保存期間は最長で7年間とされている。つまり金融危機の発生から7年以上が経過している現在、その発生当初に自宅を失った人たちの記録は抹消される時期を迎えており、再びローンを組める人たちが現れ始めている。

加えて今年の前半に雇用の安定や経済の改善が見られたことで住宅市場が回復したと考えられる。さらには今年後半に予想されている連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げにより、住宅ローン金利が上昇する前の駆け込み需要が観測されていることも要因としてあげられるだろう。

米国の景気見通しに底堅さが見られることが示されたことで、重要となるのは、その時期について様々な議論がなされているFRBによる利上げに関する問題である。米国の住宅市場が経済に与える影響は大きく、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は住宅市場が牽引して経済が回復することを昨年から予想していたが、住宅市場の回復が期待ほど伸びなかったことが懸念材料となっていた。したがって住宅市場に改善が見られたことは、FRBFOMCにとって米国経済の先行きや利上げに対する自信につながるといえる。

今後米国経済に期待通りの成長が見られれば、FRB9月に利上げを行う可能性は現実味を増していくと考えられる。(strathisla)


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