2015年7月21日火曜日

ゼミ活動報告:2015年6月のマクロ的な経済問題(中村勝克ゼミによるレポート)

現在どのような経済問題が注目されているのか。中村勝克ゼミでは毎週、「日本経済」、「先進国経済」、「新興国経済」に関する各紙の新聞記事を持ち寄ってディスカッションをしています。その中でも特に重要と考えた話題をピックアップし、このブログで月ごとに報告していきます。今回は6月のニュース中心に(69日~77日のニュースから)3つの話題が選択されました。
ただ選択した3つの内の1つが、7月に入ってから山場を迎えた所謂「ギリシャ問題」のため、今回は敢えて「日本経済」と「新興国経済」の2つの話題にとどめます。6月末から7月の前半にかけて大きく進展した「ギリシャ問題」は、特別号として改めて単独アップ致します。
さて日本経済ですが、6月末(ギリシャ問題が一般に大きく注目され始める直前)に日経平均が2000年以来の最高値を更新した話題を掲載しています。また新興国経済に関しては、5月に引き続きインドネシア経済の話題となります。まだまだ不十分な部分もありますが、参考にしてもらえれば幸いです。

ゼミにおける議論をベースにしているため、ピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。

内容について大きな誤り等がある場合はお知らせください。


【日本経済】

日経平均2868円、ITバブルを越え
(日経新聞・625日の記事を参照)

 日経平均株価は24日、2000年のITバブル期の高値を上回り、18年ぶりの水準に上昇した。それを受けて「円安や企業統治の改革で成長への期待を高めた日本企業を評価し、南欧やアジアから新たな投資マネーが流れ込んでいる。世界の金融市場が中国の景気減速や米国の利上げに身構える中、日本は息の長い株価上昇になっている」という見解がある。
 確かに円安や日銀による金融緩和などのおかげで、日本の輸出企業の業績がよくなっている。しかし現在、海外から大量なマネーが一気に入り込んできており、日本株式市場に好材料があるから日本株が買われただけとは限らない。改めて株価上昇の原因を真剣に検討する必要があると思う。

 今回、海外から流入したマネーが本当に日本の企業の将来性を見込んだ長期的投資であれば、日本の企業はさらに発展し、いずれ日本の実体経済にも波及し、日本の景気も良くなるだろう。しかしもしそうではなく、ギャンブル感覚の短期的投機で株価を無理やり釣りあげた後、すぐに売却するようなものであれば、株式市場に大きな混乱を招きかねない。この場合、警戒する必要があるではないだろうか。

今、世界の金融市場には、中国景気減速やギリシャ問題などたくさんの不安定要因が存在しており、投資家が非常にリスクに敏感になっている。リスクのあるところからすぐ逃げる傾向が見られつつある中、自国の金融市場の安定を保つのは重要なことだと思う。
 世界の金融市場は非常に不安定になりつつあり、世界の金融市場動向、そして金融市場が実態経済にどんな影響を及ぼすのか引き続き注目していきたい。(タツ)


【新興国経済(BRICS、アジア等)】

インドネシア、人口ボーナス生かせず。若年失業率は20%突破か。
(ロイター・622日の記事を参照)

 インドネシアが経済面で不安定な状況が続いている。国際労働機関(ILO)の推計で若年層の失業率が2013年に20%を突破したと推計された同国はいまも企業の人員削減が止まらないという。このような状況にある原因は何なのであろうか。

 物価上昇率と失業率の間にみられる負の相関関係を表したものをフィリップス曲線というが、現在のインドネシアの状況はこれに反している。実際、同国は周辺の東南アジア各国の水準までインフレ率を下げようとしているほどインフレ率が高い状況であるにもかかわらず、失業率は下がっていないのである。この原因の一つにインフレ率の上昇に需要の増大が伴っていないことがあげられる。

5月の自動車販売台数は前年同月比18.4%減で、9カ月連続の減少であり、繊維業界の消費者の購買力も弱いという。さらにここ数年、同国で大幅な経常赤字体質がみられる中で通貨ルピアが17年ぶりの水準に下落している。売り上げ減や通貨下落による原料の輸入コスト増大は企業にとってはマイナスの影響であり、結果として人員削減を招いているのである。
 また高付加価値産業の成長が思うように進まず、いわゆる中進国の罠に陥っている状況もある。インドネシアでは労働人口の3分の11529歳の若年層であり、熟練労働者が不足している。さらに、これを受けて雇用機会が優れないとみた外国人労働者数が国外に流出している。産業発展が停滞し国内の若者にも見限られてしまえば、労働者不足が発生して先進国の仲間入りはいっそう困難になる。


 ギリシャ問題や中国の株価の不安定性なども相まってインドネシアの株価も不安定であるが、もともと下げ基調であることは否めない。今こそジョコ・ウィドド大統領の手腕が試される時であるが、公約の1つであるインフラ投資は、官僚主義の悪弊や土地接収をめぐる紛争の発生により計画通り進んでおらず、現状打破は容易ではないだろう。(おいとま)

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