2014年6月12日木曜日

中村勝克ゼミ:2014年5月のマクロ的な経済問題(ゼミレポート)

中村勝克ゼミによるレポート

現在どのような経済問題が注目されているのか.中村勝克ゼミでは、毎週、「日本経済」、「先進国経済」、「新興国経済」に関する各紙の新聞記事を持ち寄ってディスカッションをしています。その中でも特に重要と考えた話題をピックアップし、このブログで月ごとに報告していきます。

今回は5月8日から6月3日のニュースの中から3つの話題を選択しました。「1~3月のGDP速報に関する記事」、「ECBがマイナス金利を導入する可能性に関する記事」、「ロシアの経済同盟に関する記事」です。ただしこれらの話題は、6月に入ってからも、それぞれで更なる展開を見せています。以下、あくまでも5月段階の記録として参考にしてください。

※ ゼミにおける議論をベースにしているためピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。
※ 内容について大きな誤り等がある場合はお知らせください。

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【日本経済】

[5月15日]1~3月のGDP実質年率5.9%増、駆け込みで消費伸びる(日経新聞、毎日新聞参照)

内閣府が15日発表した2014年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比1.5%増、年率換算で5.9%増と6四半期連続のプラスとなった。

4月の消費増税前の駆け込み需要による個人消費の拡大と、企業実績の回復を背景に設備投資が大幅に増加したことが主な要因だ。ただ、物価が上がったことで所得が目減りするなど、先行きに対するリスクも残る。

GDPの約6割を占める個人消費は2.1%増と6四半期連続のプラス。これは自動車や家電製品といった耐久財に加えて、日用品などにも幅広く駆け込み需要が見られたためだ。企業の設備投資も業績改善やパソコンの買い替え需要で4.9%増と4四半期連続でプラスとなった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは前年同期比0.01%増と4年半ぶりの上昇に転じ、デフレ脱却が進んでいることを示した。

しかし、景気回復で賃金が上向く一方で物価も上がったことにより、増税前の1~3月期における実質ベースでみた雇用者報酬は、前年同期に比べて0.7%減ったというデータもある。増税後の4~6月期は反動減によるマイナス成長は避けられない。輸出の先行きなども含めて、景気にはリスクも多く残っている。(大石)


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【先進国経済(北米、欧州等)】

[5月24日、26日]ECB、マイナス金利導入の可能性(ロイター、ウォールストリートジャーナル参照)

欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は、6月の理事会での選択肢の一つとして、マイナス預金金利の導入の可能性を示した。

同理事は、ユーロ圏の金利はすでに低いがさらに引き下げられる可能性はあるとし、「景気回復ペースの不均衡が確認され、低インフレが長引くリスクをECBが認識すれば、6月に行動する可能性がある」と述べた。

マイナス金利が人々の銀行への預金を阻害するのではとの質問に対し、クーレ専務理事はどの程度のマイナスになるか次第だとの見方を示し、「大幅なマイナス金利は預金者に影響を及ぼす可能性があるが、ゼロを若干下回る程度の小幅のマイナスであれば銀行に融資拡大の誘因をもたらす一方、必ずしも預金者に影響しない」と述べた。

マイナス金利が導入されることで、中央銀行への預金には手数料が発生することになる。人々の預金に与える影響については疑問が残るが、民間銀行による企業への融資が拡大される可能性は大いに期待できると思える。(bourbon)


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【新興国経済(BRICS、アジア等)】

[5月30日]ロシア、経済同盟創設へ(ロイター、読売新聞参照)

ロシア、カザフスタン、ベラルーシの3か国の大統領は29日、ユーラシア経済同盟を創設する条約に署名した。年内にも批准手続きを行い、来年1月1日に発行する予定だ。

この同盟は、ロシアのプーチン大統領が目指す旧ソ連諸国の再統合に向けたプロセスで、米国、EU、中国などに並ぶ経済ブロックの構築を目論む。現段階で加盟3か国の経済規模は人口で1億7000万人、GDPで2兆7000億ドル。さらにアルメニアやキルギスが加盟に向けた協議を開始しているため、より巨大な経済圏が誕生することが予想される。

一方で、鉄鋼業や軍需産業を抱えるウクライナの加盟は困難な状況になっている。というのも、今年3月にロシアがウクライナのクリミア地域を編入したため、ロシアとウクライナの間に大きな溝ができてしまっているからだ。

6月に入りウクライナ側から一部のガス代金が支払われるなど、関係改善の兆しが見え始めているが、ウクライナ国内は政府軍と親露派武装集団との紛争状態に入り始めており、経済同盟に参加できる状態になるまで時間がかかりそうだ。この同盟においてはウクライナを取り込むことが重要なカギであり、ロシアとウクライナの関係改善が喫緊の問題となってくるだろう。(脱忘れん坊)