2014年5月20日火曜日

中村勝克ゼミ:2014年4月のマクロ的な経済問題(ゼミレポート)

中村勝克ゼミによるレポート

現在どのような経済問題が注目されているのか.中村勝克ゼミでは、毎週、「日本経済」、「先進国経済」、「新興国経済」に関する各紙の新聞記事を持ち寄ってディスカッションをしています。その中でも特に重要と考えた話題をピックアップし、このブログで月ごとに報告していきます。
※ゼミにおける議論をベースにしているため、ピックアップされる話題は網羅的にならないこともあります。
※内容について大きな誤り等がある場合はお知らせください。


【日本経済】

[4月22日]貿易赤字最大 円安でも流れ変わらず(日経新聞、読売新聞参照)
財務省が4月21日に発表した貿易統計によると、2013年度の貿易収支の赤字額はこれまでで最大の13兆7488億円となった。円安が進んだ割には貿易収支がなかなか黒字に転換しない構造が鮮明になっている。

輸入額は原子力発電所の運転停止で火力発電用燃料の需要が高まったことなどから、84兆6052億円で前年度比17.3%増え、過去最大となった。一方、輸出額は70兆8564億円で、前年度比10.8%増と3年ぶりに前年度を上回ったものの、輸入に比べて伸びは小さかった。

一般に円安になると、初期には輸入額が増え、次第に輸出が伸び貿易収支の改善が見られるようになるというJカーブ効果があるとされているが、日本ではまだ出てきていない。これは日本企業が現地生産や現地販売を進めたことで、輸出が思うように伸びていないからだと考えられる。日本企業が海外へ事業を拡大すれば、配当などとして返ってくる所得は増える。所得収支の黒字によって経常黒字を保つ傾向はこれからも続きそうだ。 (大石)


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【先進国経済(北米、欧州等)】

[4月9日、11日]欧州信用回復へ ギリシャ国債発行再開(日経新聞、ロイター参照)
ギリシャ政府は4月10日、国債発行を再開し5年債で30億ユーロを調達した。2010年3月以来、4年ぶりの債券市場への復帰となる。

国内経済の安定や長期金利の低下という要因も働き投資家の需要は高く、発行する5年債の利回りは4.95%となった。2012年に一時40%を超えていた10年債利回りも9日に6%を割り込み、ギリシャ国債の利回りは低下が鮮明となっている。欧州債務危機を深めたギリシャの国債発行再開は、欧州の信用の回復を印象づけるものである。

2009年の政権交代を発端とするギリシャ国債の暴落は財政運営への不信を招き、一時は市場からの資金調達が難しい状況となったが、国際通貨基金などによる金融支援や債務再編により資金繰りは安定した。緊縮財政の効果もあり、2013年の基礎的財政収支は黒字化したとみられる。(bourbon)


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【新興国経済(BRICS、アジア等)】

[4月12日、13日、5月6日]クリミア危機による東欧経済への影響(ロイター、読売新聞参照)
ウクライナ中銀のクビフ総裁は13日、ロシアによるウクライナ東部地域への進行が続けば銀行の不安定化や国内生産への障害など、マクロ経済面に悪影響を与えるとの懸念を示した。これは国内最大級の工場や農業地帯が東部にあるためである。

一方で、今回のクリミア危機を境に東欧地域で資源のロシア依存を減らそうという動きも見られる。原発や天然ガスを露以外から輸入する動きがあり、ガスパイプラインの建設是非を問う事態も発生している。これらの動きは東欧経済への影響が必須であり、さらなる混乱が予想されるが、一方のロシアはイランや中国と接近するなど資源貿易相手国を模索しており、複雑な局面を迎えている。 (脱忘れん坊)