2012年10月22日月曜日

菊池 智裕(准教授)新任教員あいさつ:福島大学フィールドワーク

※後援会報 第44号 (2012.8/1発行) 転載記事

菊池 智裕(准教授)

今春から赴任いたしました菊池智裕と申します。「比較経済史」と「ヨーロッパ経済論」の講義を後期から担当します。専門は冷戦期ヨーロッパ経済史(特にドイツ農業史)です。

私がこの領域に関心を抱いた契機は、遡れば小学生の頃の「ベルリンの壁」崩壊(1989年)やソ連解体(1991年)といった冷戦最終局面のニュース映像であったように思います。「何で大勢で壁を壊しているんだろう」と素朴な疑問を抱いたことを記憶しています。一方、ゼミの学生は1990年頃に生まれた「ポスト冷戦」世代ですので、ヨーロッパの歴史や情勢のイメージは異なっています。年代の違いを踏まえてもなお、(当然のことかも知れませんが)「第二次大戦と冷戦が同時代のような印象はある」という声も聞こえまして、時代像の相違を興味深く思っています。赴任以来の私の密かな楽しみは、かくいう「ジェネレーション・ギャップ」を探ることになっています。

私は昼休み時間帯に研究室をゼミの学生に開放していまして、学生諸君と語らうことにしています(コーヒーのサーヴィス付きです)。当初は、学生と打ち解けつつ、ゼミでテキストの補足に何を説明すべきかを確認するのが目的でしたが、学生生活の諸側面から、就職や福島の現状に対する希望や不安、あるいはヨーロッパの歴史・経済・政治などの「かたい」内容まで話題が広がっています。赴任前に「福島大学の学生は大人しい」という話を聞きまして、正直なところ、ゼミなどで反応が乏しかったらどうしようかと不安もありました(私は今春まで関西にいましたので、福島に来て電車や学生食堂が思いのほか静かであることに驚き、やはり「大人しい」地域なのかと思っていました)が、研究室で対面的に対話する際の能動性は実にエネルギッシュです。知識を求める積極性もかなりのものです。

研究室でのゼミ生との対話、というごく限られた範囲ではありますが、ここ三カ月ほどの「フィールドワーク」の中間考察として、以下のように考えています。福島大学生は確かに「大人しい」場面もあるが、自らの環境に対する関心は大変に強く、知的探究心は積極的かつ旺盛である。全国一般的に、学生がヨーロッパなど「他者」に対する関心を失っているなどという評価を下す人もいますが、私はそうではないと考えています。問題は、講義室で学ぶ専門分化した学知と、複雑化する世界および周辺環境との接点が見付かりにくくなっている点にあるのではないか。となれば、学知を身近な物事の理解にも適用できる筋道(具体化)と、反対に、身近な物事を遠い世界や時代の物事と比較する道(抽象化)、以上の思考法を身に付けてもらうこと、この辺りに教官としての使命があるのではないか。そうすることで、学問と日常生活が分かち難く融合していることが見えてくるのではないか。このように考えています。

提供:写真部(福大祭2011)





写真は、昨年の福大祭での一コマ様子です。今年の福大祭は、2012年11月3-4日に開催されます。