2012年2月6日月曜日

櫻田 涼子(准教授)就職活動を考える

※後援会報 第43号 (2012.1/27発行) 転載記事

櫻田 涼子(准教授)

2013年3月卒業予定学生の就職活動が、いよいよ幕を開けました。就職活動に対する親御さんの関心が高いということで、このたび「人的資源管理論」を専門にしている私が、巻頭ページを執筆させていただくことになりました。私が担当している人的資源管理論とは、経済経営学類の専門科目にあたる科目で、主に企業内の人にかかわることを扱う分野です。例えば、雇用管理、人材育成、人事評価がどのような仕組で行われているのかなどを授業では扱っています。ここでは、自分が学生の頃行った就職活動の経験、学生の動向を踏まえながら、就職活動について少し考えてみたいと思います。

現在の就職活動はまず、就職サイトに学生自身が登録するところから始まります。就職サイトとは、企業と学生の情報を結びつけるインターネット上の掲示板のようなものです。学生が自分の情報を登録すると、それに応じて企業側からの情報が日々送られてきます。学生はその情報を自身で取捨選択しながら、企業説明会出席のための登録を行ったり、応募する企業を決めたりするのです。応募書類としては、エントリーシートと呼ばれる履歴書兼自己アピール書類が主流となっています。企業はエントリーシートを基に書類審査を行い、書類審査を通過した学生に様々な形での面接やSPIと呼ばれる学力試験を実施し、それらの結果を総合的に判断し、採用する学生を決定します。企業規模や業種によって、若干の違いはありますが、近年の就職活動の一連の流れは以上のようになっています。

この一連の流れを見ていただけるとわかるように、就職活動に参加するためには、インターネット等の情報機器を使うことができる能力と環境が求められています。また、採用活動に参加するためには、企業説明会や面接が行われる会場に出向くための交通費もかかります。このように、就職活動を行うには、時間だけでなく資金というコストもかかるのです。学生たちは、情報戦でもある就職活動の合間を縫って、資金調達のためのバイトを行ったり、学生の本分である勉強を行ったりするのです。就職活動の時期についてですが、今年度は12月1日スタートでしたが、大体3年生の秋以降から4年生の秋頃まで続きます。

日本企業はこれまで主に、新卒の一括採用を行ってきました。そのため、大学生が就職先を探せる機会は、3年生の秋以降から4年生の秋頃までの期間に限定されます。最近では第二新卒や中途採用など、採用の時期や条件も以前よりは多様化してきましたが、それでも新卒採用の割合が依然高いことには変わりありません。このことを考えれば、学生や親御さんが就職活動に対して、早くから不安を感じるのも当然のことです。私自身も毎年、学生たちが無事に希望の就職先が決まるよう、祈る気持ちで見守っています。

ただ、考え方を少し変えると、就職活動というのは、学生が社会に一歩踏み込む大切な活動であり、成長という面では大変有用な時期といえます。実際に、学生たちは、就職活動を通じて、ぐっと大人になります。そこで、私自身は、就職活動をただただ苦しいものととらえるのではなく、学生自身を成長させる大事な時期ととらえ、前向きに自分と社会と向き合う場にしてほしいと考えています。これから40年あまりの職業人生で、自分はどういうことをしてみたいのか、自分の得意なことは何か、そういうことをこの1年、とことん考えてほしいと思います。そして、そのような場として、就職活動を貪欲に活用してほしいと思います。自分をよく知ることは、今後生きていく上での何よりの糧になります。学生一人一人が、自分を大きく見せるなどの表面上の技術を身に着けるのではなく、これから何十年と続く職業人生の糧となるような自分自身の羅針盤を見つけられるような、有意義な就職活動を行えることを切に祈っております。


提供:沼田大輔准教授(大学構内イルミネーション)