2010年9月6日月曜日

中村 文彦(准教授)新任教員あいさつ:「東北地方を北から南へ移動しての感想」

※後援会報   第40号 (2010.7/28発行) 転載記事

中村 文彦(准教授)

4月に本学に赴任した中村文彦です。専門は財務会計、とりわけ、退職給付会計をはじめとする現代的な会計問題について、財務報告という経済システムとの関わりから研究を行っております。出身は東北地方ではありませんが、本年の3月まで、同じ東北地方にある青森の弘前大学で5年間、会計学という科目を担当しておりましたので、個人的に東北地方に対する親近感を有しております。

もともと小生は、生活の拠点を比較的温暖な地域に置いてきたため、東北地方とはあまり縁のない生活を送っておりました。それが一転、関わりを持つようになったのは、おそらく、大学院生のころに参加した山形でのセミナーからだと思います。当時、日本経済論を専門としていた先生が、「農的生活」というキーワードのもとで、都心の生活と地域の生活とを結びつけることを提示され、草の根的にそれを実践していたのです。

実は当初、「なぜ山形で?」という気持ちが強かったのですが、その頃、指導教員の老先生が、若かりし頃に学んだ福島経済専門学校(本学の前身)での思い出を楽しそうに回顧されていたこともあって、興味を持って参加致しました。参加してみると、素朴で暖かい東北での暮らしにすっかり魅了され、自身の生活にも部分的にでも採り入れてみようかと、漠然と考えるようになりました。こうした考えは、しばらく日々の忙しさの中に埋もれていたのですが、結局は、小生を弘前へと赴くことを決意させたのですから、おそらく記憶の片隅で力強い主張がなされていたのでしょう。

ただ、実際に北東北に暮らしてみると、思ってもいない経験の連続でした。突然の大雪によって最終の特急が運行できず、いつ運行されるかわからない代行バスを待合室で数時間じっと待っていなければならないなど、いろいろな意味で得がたい経験をし、心身ともに成長したような気がしております。

ところで、大量の雪を皆で助け合いながら黙々と片付け続ける人々の姿を見ていて、ひとつ気がついたことがあります。それは、東北人の忍耐強さや他者を思いやる暖かさが、こういう環境から生まれてきているのではないかということです。無論、南東北の福島では、これほど極端なことは滅多に起こらないでしょうが、それでもやはり、こうした忍耐強さと暖かさは東北地方全体に共通していることを、住んでみて非常に強く感じております。赴任直後であるため、まだあまり多くの科目を教えてはいませんが、こうした特性は、ある課題を黙々と着実に仕上げていく本学の学生の姿にも投影されている気がします。

ただ、こうした特性は長所になる反面、少し消極的でおとなしい印象をどうしても対外的に与えてしまいますから、就職活動等においては、より広い視野を持って良い情報を早い段階から多く集め、合理的に行動することを学生の皆さんに勧めたいと思います。北東北の学生に比べれば、首都圏や仙台にも近く、地理的優位性を持っているのですから、それを生かしてみてください。これからもよろしくお願いします。

提供:写真部(S講義棟)