2009年4月14日火曜日

福冨 靖之(教授):失敗の効用

福冨 靖之(教授)

先日スポーツニュースを見ていたら、イチローが自ら主催する軟式野球大会に参加した子供たちに失敗の重要性を説いていました。

「ことし3000本安打をマークした。逆に約6000回以上も失敗(凡退)している。失敗の中に学ぶことがあり、理由がある。その失敗をどうすればいいか。野球だけじゃなく、それを考えることが立派な大人になることだと思う」

その言葉を聞きながら、もう一人の天才マイケル・ジョーダンの言葉を思い出していました。

“I've missed more than 9000 shots in my career. I've lost almost 300 games. 26 times, I've been trusted to take the game winning shot and missed. I've failed over and over and over again in my life. And that is why I succeed.”
「生涯で9000本以上シュートをはずした。約300試合負けてきた。26回、試合を決めるシュートを任され、はずした。人生において何度も何度も失敗を重ねてきた。でも、だからこそ僕は成功したんだ。」

科学においても同じことが言えます。受理されなかった論文に対するコメントから、次の研究のテーマが見つかったという経験は、多くの研究者がしているはずです。

もちろん、科学とスポーツには大きな違いもあります。科学における失敗が他の研究者と共有できるのに対して、イチローやジョーダンの失敗は彼らの感覚の中でのみ意味を持っています。それゆえ、科学は歴史を通して進歩するのに対して、スポーツの世界では、イチローやジョーダンを超える選手がなかなか出てこないのでしょう。