2009年3月5日木曜日

神子 博昭(教授):小猫のバラード

神子 博昭(教授)

ドイツ語を担当しています、神子です。
昨年(2007)の夏、一匹の子猫がアパートにやってきました。だれにでも愛嬌をふりまき、みんなの人気者となりました。その子猫のために。


小猫のバラード


しっぽをぴぃんと立ててやってきたの って本人はいうけど それはうそ ほんとはアパートにすてられ 三階まであがってはみたものの おりるにおりられず にゃあにゃあないていた。


あたし可愛いから みんなおいしいものくれるの って本人はいうけれど それもうそ 雨のなか 庇のしたにかくれるだけの知恵もなく 背骨とがらせ なくだけの姿をみて つい情にほだされたまでのこと。


いちどなつくと こちらの雑草とりのかたわらで 虫をねらって背をまるめ 草かげに身をひそめたり おおいと呼ぶと なんでっかあ とでもいうように ひょこひょこ物かげからあらわれもした。


このさき アパートの皆さんに ご迷惑はおかけできないわ だから旅にでます なんて本人はいったけど これもうそ となりの町内のおじさんにもらわれて ぶじ家猫におさまったというしだい かごに入れられ ふろしきをかぶせられ そのすきまからひょいと手をだしたのは あれはおまえなりのお別れのあいさつであったか。