2009年3月11日水曜日

神子 博昭(教授):おくれてきたクロのために

神子 博昭(教授)

ドイツ語を担当しています、神子です。
このまえの子猫がもらわれていってから、一月後、こんどは親子の猫がやってきました。これは不幸な結末をむかえました。その子猫を悼んで。

おくれてきたクロのために

こういっちゃなんだが おまえははっきりいって不器量だった 手足のほかは全身まっくろ 鼻と口のまわりは白かったが 口のしたあたりだけ 大きなほくろのように黒いのだ 見て思わず吹きだした なにかとてもこっけいだった。

そのおまえが 夏の暑い日 いちにちないていたのだ 下水溝におち でられなくなっていたのだろう 母猫がそばにいて のぞくとこちらを警戒し にらんでいた。

数日たって おまえはまた母猫といっしょにあらわれた すっかりやせこけ 黒い毛はほつれ逆立ち口のまわりは砂にまみれ おまけに目がよく見えない そう教えてくれたひとがいた。

なくなる前の晩 あまりの衰弱に アパートのお兄ちゃんが おまえを家に連れ帰ったという 母猫は一晩 おまえをさがしていたよ さらにもう一晩 ものかげでじっとおまえを待っていたが つぎの日にはいなくなった。